
アサガオについて
名前の通り、アサガオの花は朝に咲きます。まだ暗いうちから、つぼみが膨らみ始めます。
そして明るくなったときには、完全に開いています。
ただ、種類や季節によって、その時期はそれぞれ少し違います。
少し早起きして、その様子を観察してみましょう。
どんなアサガオを選ぶ?
アサガオの育て方は、たね選びから始まります。好きな花の形や色、大きさや模様をよく考えて選びましょう。
お花屋さんで売っているたねは、紙の袋に入っています。
だから、袋の「表」と「裏」に書いてあることを、
しっかり読んでから買うようにしましょう。
このタネの中に芽をだして、
きれいな花を咲かせる不思議な力があります。

表がわ
●タネの名前を見る。「アサガオ」とか、「朝顔」と書いてあります。
●写真で、花の形や色を見る。
花が咲いたときの写真が印刷してあります。
それを見て、自分の好きな色や形、もようなどを選びましょう。
![]() 緑のカーテンの定番!つるが長めで花を楽しむアサガオ!夏の朝を彩… |
裏がわ
●「特性」と書いてあるところを読んで、特徴を調べる。つるが長く伸びるのか、伸びないのか。
花の大きさはどれくらいか。
早咲きの花か、遅咲きの花か。
詳しく書いてあります。
●「栽培」と書いてあるところを見て、育て方を調べる。
いつ?タネを蒔くか。
いつごろか芽が出て、花が咲くのか。
どうすれば大きく育ち、たくさんの花が咲くか。
アサガオの好きなところ・嫌いなところ
アサガオは、もともと熱帯で生まれ育ったのです。そのふるさとを思いうかべながら、育てるところを考えましょう。
すると、アサガオが好きなところがよくわかります。
①日当たりがよく
②風通しの良いところ。
そして、
③水はけがよく、栄養のある土のあるところ、になります。
好きなところ
【O】東がわに向いた玄関。日当たりがよいと、土が温かくなり、タネが芽を出しやすい。
【O】南がわにあり、日あたりの良いベランダ。
午前中いっぱい、太陽の光が当たっていればじゅうぶん育つ。
太陽の光が、いちばん長く当たるところはいい。
嫌いなところ
たとえ南がわでも、大きな木の下や屋根の下などは、土が温かくならないので、芽が出にくい。
【×】西日しか、当たらないところもよくない。
植物の成長のリズムがくるってしまう。
【×】北がわの日の当たらないところ。
コケがはえているような、湿っぽいところはよくない。
たねをまく苗床(なえどこ)を作ろう(1)
アサガオは、じょうぶな植物。タネをそのまま、畑や花壇なとの地面に蒔いても、芽を出してくれる。

でも、雨や風など天気のせいで、芽が出ないこともある。
だから、苗床(アサガオのベビーベット)を作ったほうが安心できる。
それに、畑や花壇のない人も育てられる。
1袋(ひとふくろ)分のタネを蒔くとき
1袋分のたね(6個)くらいなら、2つの植木ばちに分けて蒔こう。はちの大きさは、自由。
はちに入れる土の深さは、10~15㎝ほどがちょうどよい。
タネをたくさん蒔きたいとき
20個とか、30個とか、たくさんのたねを蒔くときは、魚屋さんや八百屋さんから、発泡スチロールや木箱をもらってくる。
10~15㎝くらいの深さのものがよい。
苗床は、水はけをよくしましょう。
苗床の下(3分の1)に、ごろ土や小石を入れると、水はけがよくなる。上(3分の2)には、黒土と腐葉土(ふようど)を混ぜた土を重ねる。
芽が出るまでは、砂でもよい。
水抜きの穴あけを、忘れないようにしましょう。
箱の底に穴をあける。穴をあけないと水がたまり、タネが腐ってしまう。
①太いくぎをベンチではさみ、ガスコンロの上の火で真っ赤に焼く。
(やけどしないように、注意しよう)
②焼けたくぎを箱の内側からさす。
穴と穴の間は、5㎝くらい離す。
タネをまく苗床をつくろう(2)
土をふるいに(5ミリ目)にかける。小さなつぶの土だけが、下に落ちる。
ふるいに残ったごろ土や小石は、わきにのけておく。
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ごろ土や小石を、箱の中に入れる。
ごろ土や小石は、箱の底から3分の1くらいまで入れる。
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小さなつぶの黒土(くろつち)を、腐葉土(ふようど)と混ぜる。
黒土(1)対 腐葉土(1)
腐葉土には小枝が混じっていたり、大きな葉が入っていたりすることがある。
小枝は取ってしまい、葉は細かくちぎる。
腐葉土(ふようど)は、栄養満点のこやし。
花屋さんやスーパーで買える。
腐葉土は、枯れた葉を集めて腐らせたこやし。
植物がじょうぶに育つために、必要な栄養がたっぷり入っている。
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小石やごろ土の上に、黒土と腐葉土を混ぜた土を入れる。
入れ終わったら、手で土の上を平らにする。
これで、出来上がり。

【O】砂は水はけがよく、空気の通りもよい。
でも、芽が出たあと、大きく育つための栄養がありません。
苗床に使うときは、栄養を加えるようにしましょう。
【×】同じ黒土でも、田んぼの土や、粘土のように細かすぎるのも良くない。
水はけが悪く、空気の通りが良くないので、
タネは息ができなくなり、水につかったまま腐ってしまいます。
じょうずにタネをまこう
アサガオのたねは、かたい殻(から)をかぶっている。だから、そのまま苗床に蒔いても、殻をやぶれなくて芽を出せないタネもあります。
そこで、タネに前もって水を吸わせておく。
すると、芽がでやくすなるほか、
ひとつぶの無駄もなく、苗に育てることができます。
コップなどの容器に、水に1日だけ、つけて置きます。

【O】沈んだタネは水を吸って、1,5倍くらいに膨らむ。
それを苗床に蒔く。
【×】浮いたタネは、水を吸ってない。
紙やすりなどできずをつけ、今度はぬるま湯につけておく。
つけておくのは、一日だけ。
水を吸って膨らんだタネ
水を吸うと膨れあがり、殻にひびが入ることもあるが、心配はいらない。タネ蒔きのコツ
①人差し指で、穴を掘る。指先の曲がるところが、隠れる深さにする。
とがった方を、下に向けておくようにする。

②タネの上に土をかけ、平らにする。
土をかけたら、水やりを忘れないこと。
④苗床にまくタネは、5㎝くらい離す。
あまり近づけると、あとで芽が出たとき、葉と葉がぶつかってしまう。
ビニール・ポットにタネを1個ずつ蒔くと、
あとで植えかえるとき、根をいためないので便利。

芽が出るまで毎日、観察しよう。
1日後
タネが膨らみ、根を出す用意が始まる。5日後
白い根が、にょっきりと顔をだし、ぐんぐん下に伸び始める。7~10日後
根が伸びるにつれ、タネが上にもち上がる。その根から、毛のようなこまかい根が出てくる。
2週間後
タネが土の上にもち上がり、殻の中から2枚の小さなふた葉が顔を出す。ふとい根から細い根が、枝わかれする。
15~16日後
殻がとれる。首をたれていたふた葉が、太陽の光を浴びて上を向き、大きく葉を広げる。
3週間後
ふた葉の色が濃い緑になり、少しかたくなってくる。それで、一人前の苗になる。

こうすると失敗する・・
【×】浅すぎると、タネが乾いて死んでしまう。深すぎても温度が足りなくて、芽が出ないことがある。
【×】水やりを忘れると、たねが乾いて死んでしまう。
逆に、雨の日に水をやったり、苗床をいつも水浸しにしておくと、
今度は、タネが腐ってしまう。
【×】日かげに置くと、土の温度が上がらない。
土があたたかくならないと、芽がでない。
【×】タネとタネの間をくっつけすぎる。
そうすると、後で芽がでたとき、葉と葉がぶつかって、共倒れになる。
ゆったりと、すき間をとるようにしましょう。
本葉がでたら植えかえよう
ふた葉がでて3~5日もすると、ふた葉の間から本葉がでてきます。
本葉がでると、すぐつるが伸び始めるので、その前に植えかえをしておきましょう。
苗の根をいためないように、植えかえるのがコツ。
苗の根をつつんでいる土ごと、そっくり植えかえるようにしましょう。
じょうずな植え方
「移植ごて」を使って、土ごと掘り起こす。ふた葉の真下あたりを掘るのがコツ。
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根をいためないようにするため、土ごと、そっくり持ちあげる。
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土ごと、そっくり植えかえる。
そのときの深さも、前と同じ深さにする。
よくない植え方
【×】あせって根を切らないように注意する。根を切ると、植えかえても育ちが悪い。
【×】間違っても、手でつまんで引き抜いたりしないこと。
根が切れてしまう。
【×】深く植えすぎると、葉が腐ってしまう。
でも、すぐにやり直しをすれば大丈夫。
あなたはどちらを選ぶ?
【地植え(じうえ)】地面にアサガオの好きな土をもり、直(じか)に植える。
≪例≫
●南向きの「のき下」
●南向きの「垣根」
●南向きの「花だん」
【はち植え】
植木ばちなどに土を入れ、その中で育てる。
≪例≫
●プランター
●植木ばち(6~7号はち=18~21㎝)
●発泡スチロールの箱
「つる(蔓)」が伸びてきたら「ささえ」を立てよう
アサガオの茎は、つるになって伸びていく。とくに、本葉の数が10まいくらいになったときから、
つるがモノに巻きつくようになる。
そうなる前に、つるのからまりやすい「ささえ」をしっかり立てよう。
倒れないように、注意しましょう。
「ささえ」の立て方(1)
鉢に植える場合、「ささえ」を立てる位置は、真上から見てちょうど三角形になるようにする。
四角形でもかまわないが、ふつうは三角形にする。
「ささえ」の立て方(2)
地植えの場合、1本のアサガオに、1本の「ささえ」を立てるようにする。
つるは右巻き?左巻き?!
つるの先は、真上から見ると左回りに伸びていく。左へまわりながら、巻きつくものを探し当てるとからみつく。
そして、いったんからみつくと、けっしてずり落ちたりしない。
それは、つるにはえている下向きの細かい毛が、すべり止めになるからだ。

毎日「水」をやろう。
朝のすずしいときを選んで、水やりをします。
水は、アサガオの命のようなもの。
人間がごはんを食べるのと同じで、食いだめはできません・・。
花が咲き終わり、枯れるまで、毎日1回忘れずに水を飲ませましょう。
【○】水は根で吸い上げる。だから根元に水をやろう。
【×】葉やつるに水をかけても、土にしみ込まなければ、なんにもならない。
水やりのコツ
① 土の表面が乾いていて白っぽくなるまでは、水をやらなくてもよい。② 白っぽくなったら、たっぷり水をやる。
6号はち(直径18㎝くらい)なら、牛乳びん1本分くらいの水で足りる。
③ はちなどの底から、水が流れ出すまでやる。
水やりを忘れて、アサガオが枯れてしまったらどうする?
長い間、水をやらないと枯れてしまいます。でも、まだ枯れないで残っているところがあったら、枯れた親づるだけ切り取りましょう。
すると、新しい芽が出てくることがある。
その芽を新しいつるに、育てるようにしましょう。
長い間、家を留守にするときはどうする?
洗面器に水をはり、その中に植木ばちを入れておきます。そうすれば、1週間くらい家を留守にしてもだいじょうぶ。
ただし、水が多すぎないようにすること。
はちの下から3分の1が水に浸るくらいにする。
それ以上、はちが水中に沈むと、
はちの中が水浸しになり、根が腐ってしまう・・。
ときどき「こやし」を混ぜて「水」やりをしましょう
水をやるだけでも、アサガオは育つ。花も咲く。
でも、良いタネが実らない。
大きなタネをたくさん実らせるためには、こやしが必要。
ときどき液体の「こやし」を水に混ぜて、アサガオに食べさせてみましょう。
「こやし」は、お花屋さんで売っています。

青いつぼみがつくまで、1週間に1回の割合で「こやし」をやる。
青いつぼみがつくまでは、「うすい(薄い)こやし」。●こやし(1dl)+水(1リットル)
つぼみが一つでも膨らんだら、1~2回やって止める。
つぼみが膨らんだら、「こい(濃い)こやし」。●こやし(2dl)+水(1リットル)
「こやし」は水で薄めて使う
「こやし」は、濃いほど良いというものではありません。濃過ぎると、つるが伸びすぎて、花の咲く時期が遅くなります。
決まった割合で、薄めて使うようにします。
① ビンについているカップで量をはかる。
② 決められた量の水を入れて、かき混ぜる。
③ じょうろで、水やりをする。
こんな時はどうする?
タネを蒔いてから、花が咲くまで2か月ほどかかります。その間、アサガオが病気になったり、事故が起きたりすることがあります。
そんなときは、慌てずに手当てをしましょう。
つるがちぎれてしまった。どうしよう?
何かをぶっつけたり、引っかけたりして、つるがちぎれてしまうことがあります。でも、心配することはありません。
すぐに葉のつけ根から、新しいつるの芽が、次々に出てきます。
その中で、元気のよいつるを2~3本選び、それを親づるにして育てましょう。
枯れたわけではないのに、葉が白くなり、かっ色になった。どうしてだろう?
始めは白っぽくて、だんだん茶かっ色になる。でも、ある程度すすむと止まります。
これは、病気ではないので、心配することはありません。
光化学スモッグで空気が汚れていたり、酸性の雨が降ったときにでやすいのです。
品種によっては、
白っぽいまだら模様の葉をもつものがあるから、間違わないように、よく見ましょう。
水をやっているのに、しおれたまま・・。元気にならない。どうしよう?
水のやりすぎで、根が腐ってしまうことがあります。そうなると、水を吸えなくなり、しおれてしまいます。
そんな時は、土を取りかえましょう。
① 植木ばちの周りをたたいてゆるくしてから、そっくり取り出す。
根がからまった周りの土を、1~2㎝ほど崩す。
② 腐った根をとる。
ぐにゃぐにゃしているから、腐った根はすぐわかる。
③ もとの植木ばちに植えかえる。
周りに新しい土を入れ、割り箸などで突っついて、すき間を埋める。
④ そのまま、放っておく。
葉がピンと張ってきたら、また水やりを始める。
花の命はたった半日
次々に咲いて、次々にしぼんでしまうアサガオの花。種類によって、わずかな時間の違いはあっても、およそ半日しかもたない。
短い花の命を、大切にしましょう。
来年のために「タネ」をとっておこう
花が咲き終わると、その根もとが少しずつ膨らんできます。それは、おしべの花粉がめしべの頭について、子房の中の実が育ち始めているからです。
実の中には、タネがたくさんつまっています。
じょうぶに育ったアサガオほど、大きな実をつくります。
みどり色の実が乾いて茶色になり、やがて割れて中のタネが見えてきます。
それから、タネをとりましょう。
よく乾いてからタネをとる
1個のタネから育ったアサガオが、たくさんのタネを実らせます。そのタネが、また来年も新しい命を育てる。
だから、青い実が乾いて黒ずんできたら、丁寧にタネをとりましょう。
タネの保存のしかた
とったタネは、紙封筒に入れてとっておきます。封筒に花の色や模様を描いておくと、タネを蒔くときに便利。
アサガオの一生
美しい花がしぼみ、みどりの葉が枯れても、アサガオのタネが残される。そして、そのタネが、また新しい花を咲かせてくれます。
アサガオの一生はタネを残して終わってしまうが、
それは新しい「いのち(命)」の始まりでもあります。
だから、タネは生きています。
タネを蒔く

① 根がでる。
② 芽がでる。
こまかい根も、伸びてくる。③ ふた葉がでる。
④ 本葉がでる。

⑤ つるが伸びる。

⑥花が咲く。

⑦ 花がしおれて、タネが膨らむ。
⑧ タネが乾いて、こぼれ落ちる。
⑨タネをとる。

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