シャカの生涯とは?王子として生まれながら仏教を開いた人

シャカ(前566ころ-前486ころ)


王子として生まれながら、人間の苦しみや不幸を救おうとして出家、仏教を開いた。





王子のくらい顔

ヒマラヤのふもとに、太陽の光が、まばゆくふりそそぐ春の日のことです。


たねをまくために、
農民が牛にすきをつけて、田をたがやしているのを、
王と王子とけらいが、大きな木のかげでながめていました。


黒い土が彫りおこされると、土の中から小さな虫がでてきます。



すると、まちかまえていたように飛んできた鳥が、
かたはしから虫をひとのみにしてしまいました。



ところが、これを見ていたけらいが、
弓に矢をつがえて、あっというまに、その鳥を殺してしまいました。



王は、けらいをほめました。
しかし王子は、そっと木かげをはなれて、ひとりで森へ入って行きました。



「やっと冬眠からさめたばかりなのに虫は鳥にたべられ、鳥は人間に殺されてしまう。
 生きているものどうしが、どうして、あんなことをするのだろうか」



王子はたまらなく悲しくなってしまったのです。



王も、けらいも、元気のない王子のうしろすがたを見て心配しました。
でも、王子の気持ちは、だれにもわかりませんでした。



この心やさしい王子は、名を、シッダッタといいました。
のちのシャカです。




シッダッタは、いまからおよそ2500年まえ、
インドの北部にある釈迦国(しゃかこく)で生まれました。



「王子は、世界をおさめる大王が、
 すべての人びとを、苦しみからすくうお方になられます」



生まれたばかりの王子を見て、有名はうらない師がこういいました。



ところが母のマーヤーは、
わが子をしっかりとだきしめることもないまま7日ごに亡くなり、
シッダッタは、
マーヤーの妹のマハープラジャーパティーに育てられることになってしまいました。



シッダッタは、うらない師が予言したとおり、
たいへんかしこく、12歳のころには国王になるための学問を、すべて習いおぼえてしまいました。



武芸も、国じゅうのだれにも負けないほどになりました。



でも、ほんとうは、
弓をいることも剣をふりまわすことも、楽しいことではありませんでした。



人と人が戦うことを学ぶよりも、
ひとりで、しずかに考えごとをしているほうがすきでした。





苦しみにうちかつために

シッダッタは、19歳のとき、
国じゅうでいちばん美しいヤソーダラー姫と結婚しました。



冬でも春のようにあたたかく、
夏は秋のようにすずしい宮殿には、いつも音楽がしずかにながれています。



庭には色とりどりの花がさきみだれ、うっとりとするような香りをはなっています。
けらいたちは心からつかえ、シッダッタは不自由なことはなにひとつありません。



ところが、シッダッタは、あまり幸せそうではありませんでした。
それどころか、だれとも口をきかずに考えこむことが多くなりました。



「自分だけが、こんな生活をしていて、よいのだろうか。

 みんなは王やわたしに頭をさげるけれども、
 町の人たちとわたしは、どこがちがうのだろうか。

 人間は、どのように生きるのが、いちばん正しいのだろうか



考えればかんがえるほど、ぎもんが深まり、わからないことばかりになってしまうのです。


「王子さまは、いつも、ふさぎこんでおられる。
 うらやましい身分なのに、なぜだろうか」




このころの伝説に、つぎのような話が残っています。


ある日、シッダッタは、
白馬に車をひかせて宮殿の東の門から町へでかけました。



すると、道ばたのやせおとろえた老人が目にとまりました。
老人は、つえにすがって、やっと立っています。



目は落ち込み、かみはまっ白です。
息はあらく苦しそうです。



これを見たシッダッタは、
そのまま宮殿へひき返して、へやにとじこもってしまいました。



それから数日ご、こんどは南の門から町へ出ると、
道ばたにたおれている老人にであい、
さらに数日ごに西の門からでると、そう式の列にであいました。



そしてこのときも宮殿へ帰ると、いく日も考えつづけました。



「人間は、だれでも、老人になること、病気にかかること、
 そして死ぬことから、のがれることはできない。

 これは、人間みんなの苦しみなのだ。
 でも、この苦しみにうちかつ道はないのだろうか」



シッダッタは、老・病・死が、こわくなったのではありません。
この苦しみをのり超えるための、人間の強い生き方を、さがし求めたのです。



ところが、この苦しみをのり超える道は、
やがて北の門から町へでたときにみつかりました。



「自分の、欲をすてればよい。
 欲さえ消えれば苦しいことも悲しいこともなくなる」



ひとりのおぼうさんが、このように教えてくれたのです。
おぼうさんは、そまつな衣をまとい、足ははだしでした。



でも、目は、清らかに深くすんでいました。
王子のまえでも、おそれるようなこともありませんでした。



「あの、おぼうさんのすがたこそ、わたしが求めていたものだ」



シッダッタは、目のまえが急に明るくなりました。



そして、王子の位も、ぜいたくな暮らしもすてて、
1日も早く出家することを心にちかいました。



「わたしは、さとりをひらくために旅にでます」



王は、わが子の決心を聞いてなげき悲しみ、
なみだをながして、国王のあとをついでくれることをたのみました。



しかし、シッダッタの考えは、もうかわりませんでした。
でも、あとつぎがいなくなれば国がほろびてしまうという王の悲しみだけは、よくわかりました。



「父の、これまでの深い愛情には感謝しなければならない。
 妻が、わたしにかわって王位をついでくれる男の子を産んでくれるまでまとう」



シッダッタは、あせる気持ちをおさえて、その日のくるのをまつことにしました。





国をすて父や妻と別れて

シッダッタは、月の美しい夜、白馬にまたがってこっそりと宮殿に別れをつげました。
まっていた男の子が生まれたのです。



「さとりをひらくまでは、けっしてもどらないぞ」



馬は、東へむかって走りつづけました。
たづなをにぎったシッダッタは、29歳になっていました。



シッダッタは、頭をまるめて、
行者(ぎょうじゃ)たちが修業をしている村へ行きました。



バラのとげの上にすわっているものがいます。
土にうまり、顔だけをだしているものがいます。



火にあぶられて熱さにたえているものも、
さかさまに木につりさげられているものも、片足で立ちつづけているものもいます。



みんな苦しそうです。



「どうして、こんなことをするのですか」



シッダッタは、行者のひとりにたずねました。



「そんなことも、わからないのか。
 いまこうして苦しんでおけば、生まれかわるときに天国へ行けるのだ。
 おまえは、この修行を見てこわくなったのだろう」



行者は、シッダッタをばかにして笑いました。



シッダッタは、がっかりしました。
この行者たちは、自分のために苦しんでいるだけです。
しあわせになりたいという欲も、まだ、すててはいません。



シッダッタは、
かわいそうな人たちだ、と心のなかでつぶやきながら、
りっぱな行者をさがして、また旅にでました。



しかし、どこへ行っても、
さとりをひらく道を教えてくれる行者にはであえませんでした。



そして最後に考えついたのは、

「人をたよりにしてはいけない。
 さとりをひらくためには、自分自身で修業をしなければだめだ」

ということでした。



それからというもの、シッダッタは、丘の大きな木の下にすわりつづけました。
食べるものは、1日にひとつぶの米と、ひとつぶのゴマだけでした。



やがて、6年たちました。



シッダッタのからだはミイラのようになり、
生きているのか死んでいるのか、自分でもわからないほどになってしまいました。



でも悲しいことに、また、さとりをひらくことはできませんでした。





心のなかの悪魔との戦い

ある日、シッダッタは、ひとつのことに気がつきました。



それは、このままからだがおとろえて、
死んでしまってはなにもならない、ということでした。



「修行をつづけるためには、まず、なによりも生きなければならない」



シッダッタは、川の水でからだを洗い清め、
村の少女がめぐんでくれた牛のちちを飲みました。



そして、からだが回復するのをまって、
やがてボダイジュの下にすわり、ふたたび、両手をくみあわせて目をとじました。



シッダッタの顔から、苦行をしていたときの苦しみは消えていました。



しかし、心のなかでは、
さとりをひらくための悪魔との戦いがくり広げられていました。



悪魔は、シッダッタがさとりをひらくのをじゃまするために、
さまざまな手を使っておそいかかってきました。



まず、おぼうさんにばけてやってくると、
ここには悪魔がいるから修行をやめてでて行くようにいいました。



でも、シッダッタのからだは、みじんも動きませんでした。



つぎには、3人の美しいむすめを近づけて、
酒や歌やおどりで、ゆうわくしようとしました。



しかしむすめたちは、
シッダッタの前までくると、たちまち、みにくい老女にかわってしまいました。



おこった悪魔は、こんどは悪魔の大軍を集めてしのびより、
口から火をふき、剣をふりあげ、矢をはなちました。



でも、シッダッタは、やはりびくともしません。



火のかたまりも矢も、
シッダッタのまわりまでくると、みんな美しい花にかわってしまいました。



悪魔は、まだあきらめず、最後に、あらしをよびました。



まっくらになった空にいなずまが走り、
大地はぐらぐらっとゆらぎ、木が、ごうごうと鳴ります。



しかし、シッダッタは、まゆひとつ動かしません。



そして、やがて大地に大きな穴があいたと思うと、
悪魔たちは、その中にすいこまれてしまいました。



すると、そのときです。



シッダッタの心に、ひとすじの光がさしこみました。
からだが、空に舞いあがるようにかるくなりました。



「そうだ、心にまよいがあってはいけないのだ。
 自分のことを、すべて忘れてしまえばよいのだ」



そっと目をひらいたシッダッタは、はじめて、さとりをひらいていました。



こうして、のちにシャカとよばれるようになった
釈迦国(しゃかこく)の王子は、仏陀への道をきわめました。



このときシャカは、35歳でした。





世界の人びとをすくう

「自分のさとりを、苦しんでいるおおくの人びとのために役だてよう」



シャカは、国ぐにをめぐる旅にでました。



そして、まずしい人にも、だれも近よらない病人にも、
苦しみにうちかつ心のもちかたを、やさしく語りかけながら歩きつづけました。



やがて、シャカの名がインドじゅうに知れわたり、
弟子の数も1000人を超えるようになったころ、ふるさとの釈迦国にも立ちよりました。



父も、むかしのけらいたちも、
王子が予言どおりにすばらしい仏陀(ぶっだ)になっていることは知っていました。



でも、このとき父は、
わが子のすがたが、あまりにもみすぼらしいのにおどろきました。



また、ほんとうにひさしぶりにあえたというのに、
シッダッタがうれしそうな顔ひとつしないのには、がっかりしてしまいました。



父には、
自分だけのよろこびをすべてすててしまったシャカの心が、わからなかったからです。



しかし、ひとたびシャカの教えを聞くと、
感げきにふるえて、わが子の出家をたたえました。



「人間のねうちは、お金があることや、地位が高いことできまるものではありません。
 心の美しさできまるのです。
 自分のことばかり考えてはいけません」



町の人たちも、むかしの王子が、
家いえでものごいをしながら教えを説くすがたに心をうたれ、おおくの人が弟子に加わりました。



シャカは、
そのご40年ちかくも人間の心のしあわせを説きつづけ、
80歳のときに旅のとちゅうで亡くなりました。



しかし、かぎりなく深い教えは弟子たちに受けつかれ、
仏教として世界に広まりました。



そして、この仏教は、
いまからおよそ1400年あまりまえに日本にも伝わり、
日本人の心のささえとなって根をおろしてきました。



仏教を、死者のためのものだと思っている人が少なくありません。



でもほんとうは、生きている人のためのものです。
シャカは、人間の生き方を説いたのですから。





シャカについて

さとりをひらいたシャカが、
教えを広める旅のとちゅうにふるさとの国に立ち寄ったとき、
町の人びとは、そまつな衣をまとい、はだしで物乞いする、かつての王子のすがたに、
はじめはおどろいたにちがいありません。



しかし、人びとは、

「心のまよいを捨てよ」
「我欲を捨て去れ」

と説く、シャカの澄んだ声を耳にしたとき、
いかなる王にもまさる気高さに、思わずこうべをたれました。



シャカのからだから発する光のなかに、
権力や地位や富などとは、とてもくらべものにならない偉大さを認めたからです。



わたしたち平凡な人間は、
このシャカの教えを、そのまま自分のものにすることは、とてもできません。



でも、

「人間の価値は心の美しさできまるのですよ」
「人間は自分のことばかり考えてはいけませんよ」

くらいのことは、心がけひとつで、自分のさとりとすることができます。



シャカの教えは仏教です。
真理だからこそ、人は仏教に救いを求めるのではないでしょうか。


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孔子

シャカ

⇒ソクラテス

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